ホームページのビジネス活用を考える上で押さえたい一冊
寒中お見舞い申し上げます。
今回は年末年始のお供として何冊か買った書籍の内、最初に読み終わった「勘違いをなくせば、あなたのホームページはうまくいく ~成果を上げるWeb制作・ネット集客・販促戦略の心構え」を取り上げてみようかと思います。
ネットの世界は変化が激しい / 簡単に情報発信できるために、その事例固有の成功要因によるものも少なくなく、未検証なノウハウが多いので、ある記事では「こうすると良いよ」って内容が別の記事では「あまり効果ないかも……?」と情報が錯綜することも多いので、
- ホームページのビジネス活用
- 社内体制・ウェブ担当者
- パートナー会社選び
- ホームページ制作
- コンテンツ制作
- 集客
- 広告
- アクセス解析
- オフラインとの関係
というテーマに分けて、やっていはいけないこと / 勘違いを整理してまとめました、というのが大まかな内容になっています。
内容はWeb制作あるあるな事例が多く、共感も多い
筆者がWebコンサルタントということもあり、制作現場よりも発注側のWeb担当者に向けて、それぞれのポイントで「こういう部分を気をつけてみたら良いよ」とアドバイスする感じでの立ち位置の内容、
- ホームページの担当者はこういう人が向いてるよ
- ビジネス活用したいのなら、会社自体が積極的にそれぞれの役割を持って関わっていかないとね
- 集客方法や広告配信を考える際はこういう部分を重視したほうが良いよ
みたいな話が中心になります。
で、その内容ってのが、特に発注側Web担当者とよく接する制作会社側の案件担当者にとっては「あるある」って共感しやすい話が多いです。
例えば、担当者に全部お任せと周囲が考えていると失敗する
みたいな話題があって、結構多くの会社がこういうスタンスを取りがち……というか、既存の業務への影響を恐れてかマーケティングや営業を担当する部署の1グループ、もしくは特定の個人に分離扠せたがるケースを見聞きします。
ですが、一般的にWeb担は兼業なので、マンパワー的にどうにもならないってケースが発生しがちで、どうにもなりませんよねってのは、確かにそう思います。そもそもホームページは会社と顧客との新たな接点を作るということなので、会社が関わらないとどうにもならない、と考えるべきでしょう。
それ以外にも、Web制作会社的には耳の痛い話でしょうけど、ウェブの用語を知らないと発注や相談は難しい?
では、
ネット活用に関して、ホームページ制作会社や広告代理店、ウェブコンサルタントなど専門会社に相談しようと思うとき、不安の1つが「専門用語」ではないでしょうか。
(中略)
このような状況になると、いったん相談を諦めてしまい、「まずちゃんと言葉を覚えてから、相談しに行こう」と書籍などで勉強しようとするケースが多いです。
しかし、結論から言えば、まったく気にする必要はありません。なぜなら、歩み寄るべきは専門会社のほうだからです。
勘違いをなくせば、あなたのホームページはうまくいく ~成果を上げるWeb制作・ネット集客・販促戦略の心構えより「09. ウェブの用語を知らないと発注や相談は難しい?」
歩み寄るべきは専門会社のほう
なのは全くその通りだと思います。用語が分からないのと関心がないことは別物なので、分かってしかるべきと考えてそうな会話の仕方をしてくる制作会社は、それだけでお客さんのことを考えてないと捉えていいと言えるでしょう。
同じく、Web制作会社的には耳の痛い話としては、何度も訪問して相談に乗ってくれる会社は、良い会社か?
の話で、
注意しなければならないのは、「あくまでコミュニケーションは手段であり、達成すべきは、そもそものビジネス的な目標だ」ということです。具体的には、たとえば売上アップ、ネットからの引き合い獲得、認知度アップ、現場営業の成約率アップなどです。ここを取り違えてしまうと、「なんとなく不満はないものの、なかなか成果自体は上がらない」という事態に陥ってしまうかもしれません。
勘違いをなくせば、あなたのホームページはうまくいく ~成果を上げるWeb制作・ネット集客・販促戦略の心構えより「13. 何度も訪問して相談に乗ってくれる会社は、良い会社か?」
要するに、お客さんから「うまくいかないね」って悩みを相談されたら、それを聞くだけじゃなくって効果のある施策を打つのが制作会社としての本業でしょ?って話で、まぁその通りだと思いますw
あと、相見積の話も結構興味深いことが書かれていまして、事実上の競争入札なので受注側は「どれくらいの金額なら受注できるか?」に意識が向きやすく、発注側としては比較条件が詳細の伝わっていない精度の低い見積額しかない状態になるので、適正価格を推し量ることもできなくなるし、そもそも比較条件が低精度の見積額だけなので、ホームページをコストあるいは経費としかみれなくなりやすい、という内容で、「あー、これ結構あるある~」って感じになります。
その他、コンテンツ制作やアクセス解析で共通して語られる、
- 仮説とその対策としての行動(作業)がないと効果の測定なんてできない
- 短時間でアクセスを集められれば、改善スピードもノウハウも早くたまるという観点は重要
- とは言え、アクセスが増えれば問い合わせも同様に増えていくはずだから、とにかくアクセス数を増やそうという考えは危険
- そして、購買活動をすべてネットだけで完結させる人はまだ少数派なので、チャネルの多角化は大切
- それだけに、既存経路のネット経路のお客さんを分けて管理するのは危険なので、社内に情報共有する仕組みが必要
と、「ホームページのビジネス活用」するという目的に集約していく着眼は、分かっていても発注側のWeb担当者・受注側の案件担当者ともども読んでいけば、はっとします。
まとめ
「勘違いをなくせば、あなたのホームページはうまくいく ~成果を上げるWeb制作・ネット集客・販促戦略の心構え」は読みやすくて、あまり読むのが早くなくても半日少々あれば全編読み終えられます。このお手軽感は「職場でWeb担を任されたど、どこから手を付ければ良いのか分からない……」っていう方々の力強い味方になってくれるのではないか?と感じます。もちろん、ホームページは担当者一人で何とかするものではないので、その会社組織の経営層の方にも目を通しておいてもらって良いでしょう。
また、制作会社の案件担当者にとっても、経験としてもやっと「分かる」と思う話が多いですが、それだけに言語化された暗黙的に知っている知識・ノウハウを振り返る機会にできる一冊とも言えるでしょう。